December 17, 2005
こんな本が出ます

最初はGoogle Maps APIで遊ぼう的なタイトルになるはずだったんですけど、Ajaxが流行だからとタイトルに入ることになりました。Ajaxしてるのは間違いないんで別に構わないんですけどね。
MacOS Xの本も出てるんだけど、まだ表紙が掲載されませんね、うーん。
September 27, 2005
Winnyの技術
という開発者自らが書いた本がアスキーから出るようですね。いろいろと物議を醸した(醸している)Winnyですが、詳細な技術が語られるのは恐らく初めてではないかと。2ちゃんとかだと騒音にかき消されて何がないやら分からないですし。Winnyはコードが公開されていないので何をやっているか想像の範囲を出ないのですが匿名の方法とか、ファイルのやりとりとかは、そう高度な手法を使ったものではなさそうと見ています。
しかし、自己組織化マップを使ったP2Pで、あれだけ短期間に、そして大規模に成長して、曲がりなりにも実働したシステムというのは、恐らく世界的にも珍しいんじゃないでしょうか(単なる勉強不足かもしれませんが)。そのように作り上げるには、恐らく相応の苦労があったでしょうしノウハウや実験データを蓄積しているはずで、そんな辺りが語られるのなら価値の高い本になるんじゃないかなあ、と思います。
それと、今や被告の立場であるWinnyの開発者の本を出そうという出版社も偉いかも。アスキーも昔の面影はあんま無いような感じがしてましたが、まだ骨のある編集者がいるようですね。
September 06, 2005
白箱の本

が出ます。ページ数はもうちょっと多くなりそうです。
挑戦者の公式掲示板で「カーネル2.6が主みたい」というコメントを見かけたんですけど、カーネル2.6ベースの話をしているのは5章中1章だけで、ページ数的にも1/5強程度。大半は白箱デフォルトのシステムの運用法みたいな感じにまとめてます。ボリュームの都合もあってカーネル2.6でやるのはテレビ録画とVGAドングルに止めました。
いや、でもマジTV録画、便利。ドライバのインストールもそんなに難しくないし、お勧め!
といいたいところなんだけど白箱とは別にハードが必要というのが敷居が高いかのかな。昨日、アップしたドライバ込みカーネルと即席録画予約は誰も落としてないような..
July 25, 2005
最近出たSFなどなど
何やら更新をさぼってしまいました。通販サイトを立ち上げたのは良かったものの馴れない発送手続きに四苦八苦。というわけで本ネタ。『4000億の星の群れ』

ちょっと、うーむ、な表紙。しかし中身と表紙はまるで関係がないような。P.J.マコーリイの2冊目の邦訳で、デビュー作なんだそうです。
人類は宇宙に進出、版図を広げていたが、ある星系で敵対的な生物に遭遇、戦争状態に。敵は自爆攻撃を仕掛けてくるため、その姿形すらつかむことができない。
そんな星系の近傍に不可思議な惑星が発見される。その星は自転するはずがないのに自転し、奇妙な生物が生息する。人工的に惑星改造が施されたらしいが、その星の中でもっとも進化していると思われる「牧夫」と名付けられた生物にすら、高度な知性は認められない。「牧夫」と謎の敵対生物に果たして関係があるのか、一種のエンパシー能力者である主人公は調査を命ぜられる。
というようなストーリー。主人公の女性は日本人の血を引くハーフで、そんなあたりが牧夫の謎を解く鍵のひとつになるんですけど、そこは欧米人によくあるステレオタイプな日本人観が現れていて、日本人的には「えー?」みたいなところがあるかもしれませんけど、それを含めて「ふーん」なSFというところでしょうか。
いいわゆるファーストコンタクト物に分類できるかとは思うんですけど、それほど派手な展開があるわけではありません。途中、事故により謎の惑星を徒歩で縦断することになるあたりは、冒険物として楽しめます。また、著者は生物学方面の先生だったこともあるようで、そんな知識が随所で開陳されますんで、そのあたりは楽しく読めます。
まあまあ面白かったので、もう1冊の邦訳本『フェアリイ・ランド』

を買って読んでみました。
21世紀中盤くらいが舞台。バイオテクノロジーとナノテクノロジーで変容しつつある世界、主人公の遺伝子ハッカー、アレックス・シャーキーは暗黒街のビリーから、人工生命ドール(人型だが自由意志を持たない人工生物らいし)に生殖能力を与えて欲しいと依頼される。謎めいた天才美少女ミレーナとともにアレックスはドールに生殖能力を与えることに成功するが、同時にミレーナの策略によりドールは知性を獲得して独自の生物……フェアリイに変貌を遂げ、ミレーナは姿を消してしまう。ミレーナに「魅惑の魔法」をかけられたアレックスはミレーナを探す旅に出る…
というようなストーリー。異様に変貌を遂げたヨーロッパ、そして人間には計り知れない動機で動くフェアリイが作る異様な世界が絡んで、なかなか面白い。古本は結構安いし、お勧めかも。
July 09, 2005
アポロとソユーズ
久々本ネタ。最近は余り読む本が無くて詰まらないです。『アポロとソユーズ』

を先週だったかに読了。
アポロに関しては『人類月に立つ』

を始め多くの書籍が出てますから、かなり詳細に調べることができます。旧ソヴィエトの宇宙開発に関しても、さまざまな本が出されて以前ほど謎に包まれた感じではなくなってます。ソヴィエト宇宙開発ものというとミールを題材にしたノンフィクション『ドラゴンフライ』

などがかなり面白く、また内情を知る上で参考になります。
しかし、こうした書籍は西側の視点で描かれているのに対して、『アポロとソユーズ』では、旧ソヴィエト/ロシアを代表する宇宙飛行士アレクセイ・レオーノフ自らが語る、というあたりが貴重かもしれません。
実際、いくつか面白い部分があって、たとえば従来、ロシアでは大気圏再突入を始め多くを自動化したために宇宙飛行士は何もする必要がなかった(要するに無能でも宇宙飛行士になれた)という説があるのですが、レオーノフによると手動操縦に迫られることが少なくなかったようです。レオーノフ自身、人類初の宇宙遊泳からの帰還時に、大気圏再突入を手動操縦で行っていて、その際にはおおよその着陸地点から再突入時のロケット噴射のタイミングを計算する必要があったことから、当時のロシアの宇宙飛行士にも、相当な訓練と知識(知的能力)が要求されていたことが分かります。
西側では噂になっている、ガガーリン以前に宇宙を飛んだ飛行士がいた(あの有名なセルゲーイ・ヴラヂーミロヴィチ・イリユーシンだったという話がある)という噂に関しても明快に否定しています(ダミー人形を載せたロケットがそのような噂につながったのだろう、とのこと)し、西側では何かと不名誉な噂があるガガーリンの死の真相についても、そうではなかったと述べているなど、いくつか興味深い点がありました。手垢の付いた宇宙開発史もので、実際、アポロに関する下りではあまり新事実はないのですが、旧ソヴィエトの事情がかいま見える点でお薦めできる本かなという気がします。
そういえば、アレクセイ・レオーノフといえばクラークの2010年だったかの宇宙船の名前としても有名です。当時、レオーノフは共産党幹部に呼ばれ、(小説の中の)レオーノフ号の乗組員が反逆者ばかりであるのは一体どういうことかなのかと詰問されたという話が載っていて笑ってしまいました。「あんたらはクラークの爪の垢以下だ」みたいな怒りのセリフを吐いて退席してきたんだそうで。
April 07, 2005
ALTERD CARBON
先週読んだ本
ALTERD CARBON。体調が悪いながら、だらだらと読んでしまいました。
舞台は27世紀、世界は国連の主導のもとに他の星系に進出しています。
人間は首の付け根に埋め込まれた記憶デバイス「スタック」に人格をバックアップしていて、肉体が死んでもスタックの情報を他の肉体(本人のクローンなど)にリストア。事実上の不死を手に入れています。そんな世界で、ハードボイルドな格好いい主人公が活躍するお話。
主人公は一種の特殊部隊で訓練を受け、強く人間味もあるという魅力的な性格設定。定番といえば定番ですね。
SF的な読みどころは、不死(といってもスタックが壊れると真の死に至るのですが)を手に入れた人間達がどう考え、またどう行動するのか、その社会は? みたいなところかもしれません。良くあるチープなSFハードボイルドに比べると、その辺の書き込みというか、語られ方には、それなりの説得力もあるような印象は受けますね。
P.K.ディック賞受賞がやたら宣伝されてますが、P.K.ディック的なひねりはあんまりありません。ハードボイルドな主人公がSF的世界で活躍する、そんな小説を読みたい人向きです。
March 08, 2005
リアル書店
ジョン・D・バロウの新刊『宇宙の定数』という本を買って読んでます。他の本でも頻出するネタですが、基本定数がらみの話題をより深く紹介するってな内容。アーサー・エディントンのために1章を割いています。エディントンは20世紀初頭に活躍した大天文学者のひとりで、もっとも知られているのは太陽の重力レンズ効果を観測して相対論の正しさを裏付けた功績ですが、その他にも恒星の内部構造の研究や、優れたポピュラーサイエンスの書き手として知られていたようです。
しかし晩年は、いくつか物理定数を無名数から演算により導くことができる(導かなければならない)という一種の数秘術とも受け取られかねない研究にはまってしまったことでも知られていて、なかなか興味深い人物です。残念ながらエディントンの著作で邦訳されたものは、すでに入手不可能のようです。
それはそれとして、私の事務所は有名な書店街にあるので、たいていの本は書店で購入していますが、最近はネット書店を活用する人が増え、身に回りにもネット書店中心で書店に行かなくなってしまったといっている人がいます。
しかし、リアル書店を見て歩くのは面白いもので、ああ、こんな本が出ているのか、みたいな発見が楽しめるのはネット書店では難しいように思うんですね。新刊の様子などから世相……いま世の中が向かっている方向も分かるし。
個人的によく利用するのは書泉グランデ。事務所に近いことと、1Fに文庫本があるという単純な理由(ちょっと文庫が見たいと言うだけで上階にいくのは面倒)で利用してます。以前は、書泉ブックマートもよく利用していました(何しろ引っ越す前は事務所から徒歩5秒でしたから)が、事務所から遠くなった上、1Fの品揃えが変わってしまったため滅多に寄らなくなってしまいました。
書泉で目当ての本が見あたらないときは三省堂や東京堂書店などを利用し、その他に自然科学・哲学系書専門古書店明倫館なんかもよく利用します。
三省堂や書泉など大型書店も品揃えには当然、限りがあり、ちょっと古い本になると、在庫がありません。となると必然的に注文せざるをえないのですが、注文するくらいならリアル書店よりネット書店の方が手間が無く、また時間的にも有利です。リアル書店側も、その事実に気づいたのか、三省堂は大型の書籍注文コーナーを新設して積極的に注文に対応し始めました(その点、書泉は工夫がないですねぇ…)。
いずれにしてもネット書店がリアル書店の有力なライバルになってきているようで、リアル書店には厳しいでしょうね。三省堂のような工夫が必要になってくるのだろうなあ、と感じます。
March 02, 2005
お気楽に楽しめる本
ハヤカワの新刊、ロバート・J・ソウヤーの『ホミニッド』
を買って1日くらいで読み通してしまいました。
ソウヤーはターミナル・エクスペリメントあたりは結構、面白いと思うのですが、全般に、んな馬鹿なみたいな一発ネタを発展させたお話が多いですね。先だって出た『イリーガル・エイリアン』は、エイリアンが殺人を犯し法廷に立たされる……みたいなネタ。そしてホミニッドはネアンデルタール人が進化して文明を築き上げた平行宇宙から、ネアンデルタールの物理学者が事故で、この世界にやってくるというお話。どちらもベタベタなネタで、一歩間違えば、つまらないSFモドキになりかねないような気がするんですけど、そこを上手く引っ張ってしまうあたりが、ソウヤーなんでしょう、多分。
たとえば、ホミニッドではネアンデルタール人に関する現在の知見から、彼らが文明を築きに至ったらこうであろうという社会を描いてみせてくれ、そこがひとつの読みどころになっています。逆に、その読みどころがなかったら非常につまらないお話になっちゃうような。平行宇宙なんて手垢が付いた題材ですからねー。肩が凝らずに楽しめるストーリーになってますから、電車の中で疲れずに「アハハー」と読める小説としてお勧めではないかと。
少し突っ込みを入れておくと、まずネアンデルタール人には宗教が無く、この世界にやってきたネアンデルタール物理学者が、この世界の物理学には宗教の影響があると指摘する下りがあります。私が良く読む、ジョン・D・バローが盛んに指摘している点であり、もしかしたらソウヤーもバローを読んでいるのかもなあ、と思ったり。
確かに、現在の理論物理学が宇宙開闢を追求しようとする背景にキリスト教の影響があることは否定できないかもしれません。東洋的には、仏教に端を発する(と言い切るとやや語弊があるか)因果説が浸透してますから、物事には必ず原因があり、結果があるわけで、もし宇宙に始まりがあるなら始まりを作った原因があるはずで、その原因にはさらに別の原因が……という具合に思考ループに陥ります。したがって、東洋的には宇宙に始まりはない、もしくは始まりを問うことに意味がないと考えるのですね。このような因果説が非科学的かというとそうでもなく、最新宇宙論には因果説ループにはまりこんでいると思われるフシがあるようなトピックがいくつか見受けられるように思えます。
もうひとつ、ホミニッドでは、ペンローズの『皇帝の新しい心』の中の量子脳論が引き合いに出されています。しかし、引き合いに出された微小管の量子過程が心を生み出しているという説は、生理学などの方面の専門家から嘲笑を買い、当のペンローズご本人も後に修正を余儀なくされた説です(量子脳論は相変わらず主張されていますが)。ですんで真に受けるのは危険かと。
さて、他にもう1冊、F.P.ウィルソン『始末屋ジャック 見えない敵』

いわゆるB級(失礼)ホラー。
F.P.ウィルスンは初期にはSFも書いていて、ハヤカワから1冊だけ『ホログラム街の女』というSFの邦訳が出てます(絶版)。サイバーパンク風ハードボイルド(風)小説が流行った頃の典型的なSFのひとつで、ハードボイルドなんだけど人情にもろい(要はハードボイルドになりきれない)愛すべき人物が主人公。クローンネタを絡めて、深みはないけれどお気楽に楽しめる小説でした。F.P.ウィルスンは本職が医者だそうで、医学ネタが絡むお話が多く、さすがに医学ネタは本職らしくリアリティのある題材および描写が楽しめたりします。
SFはシリーズ連作のような形だったそうで、それなりに人気もあったようですが、SF読みが少数派ですから面白くなかったのか、後にホラーに転向。『ザ・キープ』という映画化(しかし残念ながらぼろくそにけなされた三流映画)もされた小説でホラー方面での人気が定着し現在に至るという感じだそうで。もともと、読者を楽しませることにかけては、なかなかの力量のある作家で、ホラーも深みはないけれど面白く、アハハーと気楽に楽しめるので読み続けてます。始末屋ジャックシリーズの主人公ジャックも、ハードボイルドながらハードボイルドになりきれない人情の厚い愛すべきキャラで魅力たっぷりという感じですかね。
この『見えない敵』では、暗黒の者どもがウィルス……遺伝子治療に使うベクターを変異させて人類に襲いかかろうとするという、医師であるウィルスンらしいストーリー。暗黒のウィルスが広まる近未来を主人公ジャックが熱に浮かされながら幻視するあたりの運び方は、さすが元SF作家という所でしょうか。
ちなみに、F.P.ウィルスンもホラーの系譜としては、大御所H.P.ラヴクラフト系統に属するそうで。
H.P.ラヴクラフトといえば、全集の最終巻がついに刊行されました。

例のクトゥルー神話体系という奴はH.P.ラヴクラフト亡き後に捏造された体系で興味ないのですが、H.P.ラヴクラフトはある種物凄い部分(凄まじい部分)があり、この全集はすべて読み通しています。しかし、はっきりいって、この最終巻は若書きの未完短編のようなものがあったり、うーんみたいな短編があったり、全集1~6巻からこぼれた断片の寄せ集めという感じで、H.P.ラヴクラフトに突っ込んでいるマニアでないと楽しめないでしょう多分。
個人的に唯一、楽しめたのは夢書簡と題された、H.P.ラヴクラフトの書簡集くらいでしたね。H.P.ラヴクラフトが、あの壮絶な想像力を夢から得ていたことが分かり興味深いものを感じます。しかし、これは、あまりお勧めしない本ということで。
February 03, 2005
本ネタ
最近は読む本があまりなくて詰まらないです。
物理と数学の不思議な関係―遠くて近い二つの「科学」という本が文庫になっていたので暇つぶしで買ってみました。著者は多分、物理学者と思います。カオスや群論、非ユークリッド幾何学など一見すると現実の世界には余り関係なさそうな数学の分野が、物理現象と密に関連している不思議の例を紹介するみたいな構成。数式も割と出てきて少なくとも高校数学(より少し上)を習得した人に向けた内容になっています。楽しげに語ってくれていて、その点で読みやすく良い本です。
ちなみに、タイトルから誤解されそうですが、数学と物理世界が関係しているのか? その謎や哲学的側面を議論しようという本ではありません。あくまで物理と数学が関係していることを実例でもって楽しく理解しよう、という感じです。
なぜだろう? という問いに興味がある人には、ジョン・D・バロー

をお勧めします。この本は結構、前に読んだものですが、物理、生物学、宗教……など多方面の話題を取り上げ、なぜ数学と物理が関係しているのか? 数学とは何なのかを問おうという本です。適度なユーモアーを交えつつ多岐にわたる話題が出てきますから非常に楽しめますし、考えるネタになる本でお勧めです(ちなみにパイは食す方じゃなくてπですよん)。
数学は推論の形式を純化したもので、人間が生き残るために必要だったから進化の途上で身につけたのでしょう。そうであれば、物理現象を予測するのに数学が役に立つのは当然で、不思議でも何でもないわけです。数学が、たとえば宇宙の果て/時の始まりとか、量子論レベルに小さいとか、直接的に人間の生存には関わりがなさそうなレベルにまで適用できるのは不思議だという議論はあるのかもしれませんが、この世界が割とシンプルな規則で動いているとするなら、そういうこともあるのでしょう。
でもって、スタニフワフ・レム

ソラリス、買ってしまいました。
SF読みですから当然、ハヤカワ文庫『ソラリスの陽のもとに』は読んでいるわけで、どうしようかなあと迷っていたのですが、ポーランド語からの新訳で、ロシア語版を原本とした『ソラリスの陽のもとに』で、ソヴィエトにより検閲・削除されていた部分が入っているらしいし…。
『ソラリスの陽のもとに』を読んだのは脳天気なアメリカSFに飽きてきた頃……たぶん高校生位の頃です。一連の作品(金星応答なしとか、捜査とか、星からの帰還とか)に非常に感銘を受け、やはり共産圏のSFは目の付け所が違うと感心した物です。
『星からの帰還』なんかは共産圏では、かなり問題含みの内容と思うので本国ポーランドはともかく、ソヴィエトでは出版されなかったのではないかなあ、と思うのですが、よく知りません。
そんなこんなでソラリスも、内容の細部は忘れてますし、当時は図書館から借りて読んでますから比較できないし、どこが削除されていた部分なのか判別できない予感がします。まあ、歴史に残る傑作であることは確かな小説なんで、この際、再読しておくのもいいかなあと。
January 08, 2005
アンプが抽選でもらえる?
本のために作ったアンプを、抽選で読者に差し上げることになりました……といってもsbpストアから買った方に限定ですが。詳しくは下記リンクを見てください。
(追記)
当初は買ってくださった方すべてが応募できるようにするつもりで応募券の添付を計画していたのですが、月刊誌などではないため応募の締め切り期日が設定できないという問題があって、結局、sbpストアで買ってくださった方のみになってしまいました……。
December 20, 2004
世界が変わる現代物理学
という本
を買って読んでみました。
取り立てて新しい情報があるわけではありませんが、この手の本にしては文章は面白いし、軽く読む本としては良書なんじゃないでしょうか。
著者は物理学のモノからコトへという流れを「物理学のSF化」という誤解されそうな言い方をしてます。もともと、物理学の先駆けともいえるニュートンにしても、なんだか分からない遠隔力を設定したわけで、それ以前の完全モノ的理論である渦動理論が見事に破綻したあたりを考えれば、モノからコトへというのはニュートン以来、物理学の一貫した流れであったわけで、ことさら強調すべき話ではないのでしょうが、文系の人々(私も含め)から見れば、意外な部分なのかもしれません。
最後にはスピンネットワーク、ループ量子重力理論あたりまで話が飛んできて、うーむ。外からぼんやり眺めている限り、ひも理論にしてもループ重力云々にしても、記述する範囲があまりにも大きすぎて、究極理論と呼ぶには余りな感じもしなくないんですけど、どうなんでしょうね。
あまりにも大きすぎる記述から現実世界に合いそうなモノを選び取るという話であれば、結局の所、究極理論も実験・検証を経るしかないわけです。そもそも、現実世界での実験や検証が不要なのであれば、純粋数学にお任せすればいいわけですから、物理学である限り、モノ世界との完全な決別はありえないだろうと思うのです。
December 17, 2004
宣伝してみるテスト
やれやれ、忙しかった年末も終わりそうな予感。こんな本が出ました。

サンプルプログラムと原稿の半部くらいを担当しています。何か質問があったらどうぞ。
んで、こんな本も出ます。

キットを作ろう、みたいな本。良かったら手に取ってみてください。
November 25, 2004
本ネタ2題
久々に本ネタ。グレッグ・イーガン『万物理論』
はとっくに読み終わりました。
サイエンスライターの主人公主人公アンドルー・ワースはライフサイエンス関係の取材を通じて、その非人間的な有りようというか、そんなのに疲れ果て、畑違いの国際理論物理学会議の取材に名乗りを上げる。時は2055年、長年の夢とされてきた究極の物理理論(万物理論)の候補が、この国際会議で発表される予定だった。アンドルーは万物理論構築の最有力候補と見られている天才物理学者ヴァイオレット・モサラの取材を始めるが、どういうわけか事件に巻き込まれ、命を狙われる羽目に……
というようなストーリーで、全体はサスペンス仕立て。国際会議が開かれる「ステートレス」は、禁止されているバイオテクノロジーを駆使して構築された人工島で、無政府主義者が住み着いているのですが、そのステートレスの科学的、政治的側面が克明に描かれていたりしてSF的にかなり楽しめます。
最終的には万物理論が説き明かされ、それにより人類は変容する、という展開で、幼年期の終わりとか、あの辺のSF的名作を思い出させなくもないラストといえるかもしれません。
ちょっと面白いなと思ったのは、モサラの万物理論というのが「宇宙の内側から観察している自分自身への言及」を必要とするとしている点です。そこから推測するに、モサラの万物理論は宇宙より大きい(宇宙を包含する)理論ってことになると思われます。
モサラの万物理論からは宇宙で起こりうる事象すべてを語り尽くせる上、この宇宙では起こりえないことも語るはずで、得られた結果が、この宇宙で有り得る事象かどうかは人間が(実験などを通じて)選択しなければなりません(が、それは不可能です)。理論を通じて得られた結果のうち、何が有り得るかについて理論は何も言語ってくれないはずですから、その意味でモサラの万物理論は実際には万物理論ではないと想像できるんじゃないかと。
イーガンは、その辺のことを分かっていてわざとやってるようなんですが、フィクションですから当然といえば当然で、料理の仕方に納得できるかどうかで、この小説の評価が変わるかもしれません。個人的には最後の「変容」に納得できないモノを感じましたが、一方で克明に描かれる2055年の世界は興味深く、そっちの方が楽しめたかなあと。
もう1冊、ジェフリー フォード『白い果実』
これは文句なく面白かったです。夢中で読んでしまいました。異世界ファンタジーとか、そういう部類に属するのだと思いますが、半端ではありません。
天才だが非人間的な独裁者ビロウが、自身の理想を具現化させた都市「理想形態市」と、その周辺世界が舞台。主人公クレイは野心にあふれ、権力の座につくために非情(非道)なことも辞さないタイプの人間として描かれます。観相学(19世紀くらいまで存在した骨相学の発展系のような学問らしい)を学び、ビロウの片腕といわれるまで権力の座に上り詰めたクレイは、ビロウから理想形態市の属領で起きた白い果実にまつわる事件の調査を命ぜられる……
というような出だしで、次々と繰り出される幻想的なイメージは、時に妖しく美しく、ときに残酷で読んでいて引き込まれるモノがあります。ストーリー的には、当初は嫌な人間であった主人公クレイが、権力の座からの転落と苦境を経て、自らの過去の非道を深く悔やみ、最後は独裁者ビロウとの対決するという娯楽小説の王道を行っていて、多くの人が抵抗なく手に取れる読み物に仕上がっていると思います。翻訳も良いのかもしれませんが、文句なくお勧め。これは良いです。
November 07, 2004
グレッグ・イーガン『万物理論』
いま恐らくもっとも注目されているSF作家、グレッグ・イーガンの『万物理論』が出てました。邦訳が出そうも無く、原書で読まざるを得ないかな、しかし原書だと読むのに1、2年かかりそうだなあ、などと思ってた本です。当然すかさすゲット。冒頭から面白いです。これは凄いかもしれない。
November 05, 2004
くらやみの速さはどれくらい
という本を読み終わりました(久々の本ネタ)。
「21世紀のアルジャーノン」がキャッチコピー。うーむ、といったところです。
名作『アルジャーノンに花束を』は中学の終わりか高校に入ったばかりの頃に読み(当然?)感動した覚えがあります。確かに名作といえる小説だろうと思うのです……が、シンプルなストーリーでありながら、感動させてやろう、お涙頂戴みたいな雰囲気が全体に漂っている小説で、アルジャーノン自体は名作であることは変わりないとしても、2番煎じ、3番煎じが出やすいタイプのお話だなあと。
ですんで、このくらやみの速さはどれくらいもアルジャーノンの2番煎じであれば、読む必要はないというか駄作の可能性が大いにあるかなと思ったわけです。しかし、実際に読んでみるとアルジャーノンとはだいぶ違う小説でした。
時は近未来、乳幼児に対してはバイオテクノロジーによる自閉症治療の道が開かれています。30代後半の主人公は自閉症が治療できなかった最後の世代。しかし、幸いなことに主人公は知的能力に恵まれ、その能力を生かして大手製薬会社に勤め、安定した収入を得ています。自閉症に起因する対人関係の問題を多少は抱えながらも、まあまあ、ごく普通の見ようによっては幸せな生活を送っているという。
しかし、転任してきた職場の上司が自閉症セクションの縮小を計画、さらに実験的な成人の自閉症治療が開発され、その対人実験に参加するよう上司が強制し始める。さあ主人公はどうする……
というような内容で、物語は自閉症である主人公の視点で語られていくのが特徴です。読んでいくうちに、素朴かつ繊細な主人公に読者が好感を抱くようになるのですが、新たに開発された自閉症治療は脳の一部を改変してしまう……すなわち、主人公が主人公のままではいられない危険をはらんでいる治療です。自閉症であることもまた自分らしさではないのか? と主人公は悩むことになります。
正直、本書が本当の自閉症の方の物事のとらえ方、考え方、感じ方を反映しているのか良く分かりません。著者のエリザベス・ムーンは息子さんが自閉症とのことで、その経験を通して物語が書かれているようですが、やはり本人でないと分からないこともあるでしょうし。
ネタバレでもないので書いてしまうと主人公は悩んだ末に治療を受けることを決意します。ラストはハッピーエンド風ですが、確かに自閉症であった主人公は永遠に失われてしまった(違う人になってしまった)とも読め、そのあたりに複雑な印象を残す小説になっています。まあ、お勧めということで。
# こっちも随時、更新しています
July 30, 2004
宇宙に法則はあるのか
という本を買って読んでいます。
ジョン.D.バロウの翻訳物はほとんど読んでいますが、だいたい言いたいことは同じようですね。しかし、非常に面白い。人間原理な見方を知りたい人、あるいは最先端宇宙論のポピュラーサイエンス本を読んで、その気になっちゃった人(最終理論の完成は近いと感じた人)にはお勧めなんじゃないかと思います。こういう物の見方もあるのか……という。
July 10, 2004
スペース・マシン読了
クリストファー・プリースト『スペース・マシン』あっさり読了してしまいました。H.G.ウェルズへのオマージュですね。なるほど、そう来ますかというくらいストレートなストーリーですし、とくに仕掛けのない冒険活劇ですんで、何も考えずに楽しめます。ウェルズのタイム・マシンのオマージュというとバクスターの『タイム・シップ』
が評判がよかったですが(これも面白いです、お勧め)、バクスターのタイムシップはタイムマシンの後日談という体裁をとりつつ、新しいサイエンスネタを交えた現代的なSFなのに対して、スペース・マシンは出てて来る科学技術の描写からストーリーから何から、すべてH.G.ウェルズの当時の雰囲気を踏襲してます。まさに正統派オマージュって感じですかね。お勧め……といいたいところだけど、絶版状態ですんで古本でしか手に入らないんですよねー。
July 08, 2004
未来少女アリス&部分と全体読了他
先日購入した2冊を続けて読了。
『未来少女アリス』
冒頭の1/4くらいは苦しいかなあ(アリス物らしい言葉遊びの日本語訳が……)と思いましたが、途中からジェフ・ヌーンらしくアリス風ヴァート世界に切り替わるんで、そこそこ楽しめました。動物人間にジグソーパズル殺人事件ですからね、『ヴァート』、『花粉戦争』を読んだ人なら、お馴染みの世界でしょう。読んでなくても、それはそれなりに風変わりなアリス物として楽しめると思います。
『部分と全体』
あまりに有名な本なんでコメントしようもない感じですが、ゾンマーフェルト、ニールス・ボーア、ヴォルフガンク・パウリ等々、物理にうとい方でも名前くらいは聞いたことがあるだろう錚々たる面々が出てきます。プラトンの対話編のような読み物を意図したということで、物理関係も少しはありますが哲学的な対話が主。「物理学における理解とは何か?」という高校時代の友人との対話に始まり、言葉の意味や政治についての対話がまとめられています。
ちょっと思い出したのは「ヨーロッパの物理学者が禅問答に明け暮れている間に、アメリカ人は量子力学を使ってトランジスタを発明した」というセリフ。プラグマティズムは時として有用ですが、量子力学を建設するにあたって、主観客観とか意味とか何とかを深く考察せざるを得なかったのは確かで、大きな仕事を成したハイゼンベルクが、10代にして哲学的な考察をめぐらしていたというのは、さすがというか、なるほどと納得させられることではあります。
もうひとつ興味深いのは、この本の自己弁明にあたる記述です。ハイゼンベルクはナチスドイツに残った数少ない優秀な物理学者の一人で、ハイゼンベルクの存在ゆえに英米はナチスドイツの原爆開発を恐れました。この本でハイゼンベルクはナチスがいずれ破局を迎えると予測していたこと、そして恐るべき破局の後にドイツ復興の力になろうと残ったと述べています。これを白々しく嘘臭い言い訳と見る人もいるようです。
しかし、戦後の調査でナチスドイツが原爆開発にほとんど着手していなかった(その代わりに原子炉を作ろうとしていた)ことが明らかになっていますし、戦後ドイツ物理学の復興に尽力したのは事実ですから、多少の言い訳はあるとしても、まったくの出鱈目ではないような気はします。
英米の疑念をかきたてる結果になった、ボーアとの対話にも触れられています。原爆開発が不可能であることを伝えようとしたが、ゲシュタポに内容が漏れることを恐れて直截な言い方ができず、話が原爆に及ぶとボーアはそれだけで動揺してしまって、ハイゼンベルクの「ほのめかし」を理解してもらうことができなかったと述べています。ハイゼンベルクの視点で書かれているわけで本当のことはわかりませんが、そもそもナチスはユダヤ人科学の排除を進めようとしていましたし、原爆はナチス的にはユダヤ人科学の成果みたいなもんでしょうから原爆開発を進める気がなかったのは確かかもしれませんね。
そんなこんなで2冊とも読んでしまい、読むものがなくなったので書店をうろうろしていたら、羊頭書房で前から探していたクリストファー・プリーストの『スペース・マシン』と
『ドリーム・マシン』
を見つけて購入してしまいました。この古書店は少し高いんですけどね、読んでみたかったので仕方ないかなと。
July 01, 2004
I, Robot
そういえばN+I会場や公式パンフで目に付いたのが、これ。アジモフ先生のI, Robot、邦題『われはロボット』ですか。N+Iの客層がマッチするって読みですかね。
やたら格好いい映画になってるみたいだけど、この小説のイメージは……なんかこう、古めかしいというかダサい未来というか、そんなのなんですけどね。書かれた時期(1950年代ですか)から古く感じられるのは、まあ当然ですが。小説から受けるイメージと映画の格好よさと差があるなあ。
June 29, 2004
ジェフ・ヌーン新刊
インテルの帰りに書泉グランデに寄ったら、ジェフ・ヌーンの新しい邦訳本を見つけました。
『未来少女アリス』。なんか凄いタイトルですが現代はAUTOMATED ALICEだそうですから、自動人形アリスって感じですかね。
ジェフ・ヌーンといえば『ヴァート』と『花粉戦争』。ヴァートという麻薬にまつわる幻想小説で、これはもう面白いというか凄い。そのジェフ・ヌーンのアリス物だから、たぶんきっと面白いに違いないわけで、すかさず購入。
それと、趣を変えてウェルナー・ハイゼンベルク『部分と全体』も購入。あまりにも有名なハイゼンベルクの自伝(対話集)です。前々から読みたいと思っていた本だったのですが、今日たまたま書店で目に入ったので買ってみたというわけです。
June 25, 2004
重力と磁力の発見
ここのところ体調の関係で本が読めてません。んで、過去に読んだ本のことでも書いておくテスト。重力と磁力の発見。科学史を趣味にしているので、この本は出た直後に買い求め一気に読破しました。この手の本としては売れているようで、いまだに書店では平積みになってたりしますね。古代から歴史を掘り起こしつつ、最終的に重力や磁力の発見に至るためには遠隔力を認めざるを得ない、言い換えれば魔術的で前近代的な思考がベースになったのだ、というあたりを丹念な調査と膨大な資料を参照しつつ明らかにしていくってな感じの本です。
言われて見れば当たり前の話なんですけど、さまざまな資料を引きつつ丹念に筆を進めて行く著者の議論には説得力があり、しかも読み易く非常に楽しめます。お勧め。
ちなみに著者の山本義隆という方は全共闘世代には伝説的な人物なのだそうです。そっち系には、さほど興味ないので調べてませんが…。
June 19, 2004
犬は勘定に入れません読了
コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』
読了しました。なかなか面白いです。
ドゥームズデイ・ブックと同じシリーズに属するタイムトリップ物で一部、ダンワージー先生とか一部、登場人物も重なっていたり。しかし、シリアス路線を狙ったドゥームズデイ・ブックとはまるで違ってドタバタラブコメディ。
ひょんなことからヒロインが猫を現代に連れてきてしまう。それが大きく歴史を改変する原因になりかねないと、主人公ネッド君は休暇をかねて過去(ヴィクトリア朝時代イギリス)に送り出されます。ごたごたの末、滞在先のトシーがミスターC(Cで始まる?名前ということくらいしか分からない)と結婚しないと歴史の大改変が起きてしまうってな話になり、ミスターCを求めてネッド君とヒロインの右往左往が始まる、というようなお話。
コニー・ウィリスはキャラが駄目なんだけど、コメディでは多少、誇張が入った類型的なキャラで不自然じゃないですからね。ヴィクトリア朝時代の雰囲気もよく出てるし、何より思わず笑ってしまう展開が良いです。推理小説のネタが随所にちりばめられていて、ラストにはドドンと謎解きも用意されてますから、ミステリー方面の人には楽しめるでしょう。
いちおうSFということで、もっともらしい時間理論なんか(時間(歴史)はカオス系だみたいな)も出てきますが、あくまで付けたしで、楽しく読めればオケーみたいな小説です。
June 11, 2004
コニー・ウィリス買いました
前に買ったウィリアム・ギブスン『パターン・レコグニション』。とっくのとうに読み終わってます。が、コメントの難しい小説です。ネットに時折、ゲリラ的にアップされる作者不詳の短編映像。その完成度の高さと、なぞめいた魅力から多くのフリークを生み出している。主人公は、その作者の調査を依頼されるが...というようなストーリー。SFではなく現代...(おそらく)2003年を舞台にしていています。脈絡があるんだかないんだかもはっきりしない映像の断片に熱中する人々とか、それを通じて成り立つコミュニケーション、物語りに絡み合ってくる9・11...。現代の一断片を切り取ることには成功しているような気がします。
いろいろ新機軸はあるみたいで、たとえば初めて1人称視点で書いた小説だそうな。そういわれて見ればそうかも。わかりやすさを狙ったようで、ギブスンに馴染めないとか、ややこしいと思っていた人にもおすすめ、ってな話のようですが、どうかなあ?
××(何か)を探せ! という筋立ては実のところサイバーパンク三部作からのギブスンの黄金パターン。映像の作者を探して日本、そしてロシアへと舞台が切り替わって楽しめますし、日本のオタクが登場するあたりは笑えますが、それもあいどるでやっちゃってますからね。とにかくストーリーとか登場人物のキャラクタには新鮮みはからきしなくて、いつものギブスンって感じです。私はギブスンの視点が割りと好きなんでさっさか読んじゃいましたけど、物語的には、いいかげん飽きたって言い出す人もいそうな感じはします。
その後、短編集なんかを買って読んだものの、これといって読む物がなく、京ぽんで暇つぶししてたけど、ようやく今日、コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』
を買いました。買うかどうか迷っていた本で、買ったはいいけど、まだ全然読んでませんが。
コニー・ウィリスと言えば『航路』
臨死体験を題材にした小説で、上下2冊の分厚い本ですが、とにかく夢中で読みましたよ。電車の中以外では本を読まない私が、半ば徹夜で1日で読み通したんだから面白かったとしか言いようがないです。途中で「マジですか、それ!」みたいなどんでん返しはあるし、とにかく凄い。
けれども、読み終わってみると、いろいろ気に入らない点も多々あったり。たとえば、男性キャラ(いちおう主人公格か)の陰が薄い薄い。いるんだかいないんだか、わかんないキャラです。
男性キャラと言えばドゥームズデイ・ブックもだめでした。この小説はタイムトラベル物で、大学の史学科女学生が研究のために14世紀に旅立ちますが、すったもんだで現代に帰ってこられなくなります。折しも、歴史に残る大惨劇となったペスト禍の直前。女学生は無事現代に帰ってこれるのか!
みたいなストーリー。ベタベタですが、ペスト禍の生々しい(少々ショッキングな)描写や中世ヨーロッパの不衛生さを含めたリアルな描写は他に類を見ないものです。実際、汚かったらしいですからねー。
というわけで、それなりに面白いんですが、登場キャラがやっぱだめです。中世に一人取り残される女学生ギブリンは絵にかいたような優等生で存在感薄いですし、現代で奔走する教授は...。設定では格好いい老男性教授のはずなのに、妙にこまかいことに拘泥してみたり、落ち着くべきときに落ち着きがなかったり、思考パターンや行動パターンが設定とずれがあるんですね。男なら、そうは行動しない(そうは考えない)というような。コニー・ウィリスは基本的に男性が描けない人だと思います。もしかしたらキャラ全般に描けないのかも。
しかし、それでも読ませてしまう。なんだかわけがわからない作家だなあ、と思ったり思わなかったり。
May 27, 2004
目眩
エドモンド・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』
読了。キャプテンフューチャーで有名なハミルトンの短編集。表題作のフェッセンデンの宇宙は、人工宇宙物の元祖で、いろいろな変奏が現在のSF小説にも見られたりします(たとえば順列都市とか)。まー全般には古き(良き?)懐かしのSF短編って感じですかねえ。
んで、先ごろ邦訳が出たウィリアム・ギブスン『パターン・レコグニション』
を読み始めました。またーり古いSFから一気にバリバリ現代SFへ。頭が切り替わらず少し目眩が…。
それはさておき、巻末の巽 孝之氏の次の文
…略…たしかにこの20年間、彼(ギブスン)が電脳空間という未踏の新世界を構想したことで鼓舞されるフロンティアスピリットがなかったら、今日のグローバリズムの時代は決してありえなかっただろうということだ。
まあ、サイバーパンクが今のインターネットの発達に多かれ少なかれ影響を与えていることは認めるにやぶさかではありませんが、ちょっと買いかぶりすぎではないかと。Webとメールでしかネットに触れない人に良くある妄想という感じに少し目眩が(言い過ぎですかね)。 [more...]
May 25, 2004
京ぽんカメラ2
仕事の資料を探しにいったついでに京ぽんカメラで撮ってみるテスト。
オーム社の1Fにある直販書店。Linker & Loadersという本を買ってきました。タイトル通りリンカとローダーについて書かれた本です。
バンの向こう側にあるのが、たまに行く羊頭書房。SF/ミステリ/幻想文学系の専門古書店で、脱サラした店主がやってるらしい。脱サラ古書店ネタでTVや新聞雑誌の取材を受けたりして割と有名みたいですね。品揃えはまあまあだけど、なんだか高いぞ!






