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| by 米田 聡 |
前回の記事で、読者の方から 「S3の911を搭載したカードは、 Stealth 24ではないのでは?」という指摘を いただいた。まったく、そのとおり。 記憶力の悪い筆者はすっかり忘れていたのだった。 正しくは「Steath V-RAM HiColor」で、 プレゼントもStealth V-RAM HiColorです。 申し訳ない。 |
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第5回 マイナーへ突っ走れ! ◆◆マザーボードの交換はあっさり終了 386DX/33MHzのInfinitiという怪しげなAT互換機を手に入れ、メモリを増強して速くなり、ビデオカードを交換してWindowsが快適になった、というのが前回までの筋書き。だいたい1991〜1992年ごろじゃないかと思う(記憶がハッキリしない)。 最初は「どうでもいいもの」のひとつだったAT互換機も、何かをすれば、しただけ確実な成果が得られるという経験をしたのだから、病みつきになっても無理はない。心理学でいう条件付けの強化みたいなもんだ。パブロフの犬状態。 メモリ、ビデオカードの交換とくれば、次はマザーボードしかない。というのは、AT互換機が徐々に広まるにつれて、市中のPCの主力になっていったのが486DX搭載機だったからだ。i386DX搭載機なんてのは、時代遅れになろうとしていたんだね。 今でこそマザーボードの交換なんて当たり前のように行われているが、当時はマザーボードを販売しているところなんぞ皆無。DOS/Vが注目を集めているといっても、それは限られたマニアの間だけの話で、秋葉原で売られていたのももっぱら完成品だった。 486DXにしたいが、PCを丸ごと買い換えるだけの資金力はない。それに、せっかく強化したメモリやビデオカードを捨てるのもイヤだ。マザーボードだけ、どこかに売っていないものか……と思っていたときに、運よくジャンクの老舗「丹青通商」(現たんせい)のショーウィンドウ<*1>に486マザーボード(486DX/33MHz付き)が飾られているのを発見した。 値段はよく覚えていないのだけれど、現在のPentium IV+i850マザーボードのセットより少し安いくらいだったと思う。そう、とんでもなく高価。狭苦しい店内の薄汚い(失礼!)ショーウィンドウの前でしばらく逡巡したものの、意を決して銀行に直行。お金を下ろして購入してしまった。 勇んで自宅に戻り、Infinitiを解体。マザーボード交換の教本なんてなかったから、手探りで適当にやるしかない。だが、そもそもAT互換機は規格化が進んでいるから、マザーボードの交換なんて簡単。X68000をバラしたり、(その昔)ベーシックマスター16000を改造した経験と比べれば、どうってことはない。 作業中、パワーオンのインジケータやキーロックのケーブルを、新しいマザーボードのどこに取り付けていいのやら皆目見当がつかないというトラブルはあったが、よく考えたら、そんな機能はいらないから気にする必要はなかった。電源スイッチとリセットさえ正しく機能してくれれば支障なく使えるし、あとはどうでもいい。ここでも「動けばいい」というポリシーを遵守したので、作業は簡単に終わってしまった。 組み上げたInfinitiの電源を入れると、あっさり起動。しかも、速い速い。Windows 3.0がビュンビュン、唸りを上げて(いるように思えるくらいの速さで)動いてくれる。いや〜、AT互換機ってのは凄いものだなあ……。 ここで読者は、何かトラブルが起こる話を期待しているかもしれない。でも、残念ながら(たしか)トラブルは何も起こらなかったんだね。仮にトラブルが起こったとしても、忘れてしまっているので語ることができなかったりする。 自慢するのもなんだが、筆者は記憶力が非常に悪い。とくにPCにまつわる不幸に関しては、解決できたら直後に忘れてしまう。解決できないトラブルは覚えていることもあるが、しつこく原因を追求して何とかしてしまうことが多いので、トラブルは忘却の彼方へ飛び去ってしまうのだ。ついでに学習もしないので、いつまでたっても進歩がないのだった。 ◆◆EISAのイバラ道 そうこうしているうちに、日本でもAT互換機(DOS/V)が徐々に盛り上がってくる。DOS/V Magazine誌も少しずつ厚くなっていったし、秋葉原のPCショップの数も増えてきた。 で、Windows 3.1のリリースを機にAT互換機が大ブレーク。日本語版Windows 3.1で英語版のビデオドライバが利用できるように改善されたため、クリティカルなインストール作業が要らなくなり、誰でも手軽に超高解像度でWindowsが利用できるようになったからだ。 余談だけれど、AT互換機が伸してきたといっても、当時はまだNECのPC-9801が主流。でも、PC-9801シリーズがジリ貧になるだろうことは、この時点でハッキリと分かった。というのは、海外ではWindowsに急速にシフトしていて、いずれ日本でもそうなることが目に見えていたからだ。 WindowsはPC-9801シリーズが誇った日本語MS-DOSを無意味にし、AT互換機と同じ土俵で戦わざるを得なくする。世界中で使われているAT互換機に対して、日本固有のローカルなPC-9801シリーズに勝ち目がないのは当然だ。今だからこそ言うが、打倒PC-9801シリーズを目指していた<*2>筆者からすると、「えっへっへ」てなもんである。 とはいえ、Windows 3.1の登場で誰もがAT互換機を使うようになると、心の中では「つまらないなあ」という気になってくる。皆が使うようなものを使っていてもツマラない。何か面白い、誰も使っていないようなモノはないだろうか。 Amiga 2000とか、いろいろ候補は挙がったが、とりあえず身近なところでEISAバスはどうだ。世の中の主流はISAバスのPCだが、ISAバスはショボいのである。約8MHzのバスクロックなんて、X68000の拡張バスより遅いぞ。一方、EISAならAT互換を維持したまま、33MB/sのカッ飛びバスマスタを使用する高性能カードが使える。 ちょっと解説を加えておくと、EISAというのは、IBMが出していたMCAという偉い(けどクローズな)アーキテクチャに対抗して、Compaqなど互換機メーカーが打ち出した(当時の)高性能バスのこと。ISAバスとの互換性を維持しつつ32ビット化を計り、バスマスタ転送を使用すると33MB/sという、MCAと同レベルの高性能が得られるバスだった。 ただ、EISAが使われていたのは、主にサーバ分野。要するに高価なのだ。高価ゆえに普通のPCではほとんど使われなかったのだが、そこを使うのが男ってもんだ。 と、勘違いした筆者は、とあるツテを使ってMylex製<*3>のEISAバス搭載マザーボードを入手。これが、とんでもなく高級なマザーボードで、ついでに試作機で(マニュアルはコピーだし)、安定していないって代物だ。 EISAは、とにかく凄かった。何しろEISA Configuration Utilityとかいうツールを使って、EISAバスカードのコンフィグレーションができるのである。面倒くさいジャンパの設定などしなくて済んだ。それだけでもハイテクな感じがしたものだ。 ただし、やっぱり不安定。カードを換えたりするたびにトラブルを起していたので、しばらく使ったものの、いいかげんウンザリし始めた。 そのうちに秋葉原でもAT互換のマザーボードが盛んに販売されるようになり、EISAバスのマザーボードも、わずかだが入手できるようになってきた。筆者は次々とEISAバスのマザーボードを購入。いろいろ使って、ハマったりしていたわけだ。 とくにハマったのが、Hintというチップセットを使ったEISAバスのマザーボード。安かったので、台湾で数枚購入したのだが、こいつは本物のEISAバスではない、ということが使ったあとで判明した。一応、EISAバスは装備しているのだが、バスマスタに対応していない(EISAバスマスタを使用するカードを装備しても動かない)。 バスマスタを使用しないEISAバスは単に2倍速のISAバスに過ぎないので、ほとんど意味がない。よく言えば安価な簡易型EISAバスだが、悪く言えば偽EISAバスみたいなもんである<*4>。 そんなハズレがある一方で、ASUSTekのEISA486SV1というマザーボードは愛用した。結局、Pentium全盛時代(Windows 95が出たあと)まで使っていた記憶がある。完全なEISAバス仕様だったし、とても安定していたし、ついでにオーバークロックも(オッシレータの交換で)できた。なかなかよいマザーボードだったが、最後はオーバークロックのし過ぎで壊してしまった。 いずれにしても、筆者は「人が使っていないものを使いたい」という気持ちが常にある。だから、EISAバス以外にも、いろいろと妙なモノを買ってハマっていた。次回は、そんなハマりアイテムのひとつを紹介するつもりだ。
*1 ショーウィンドウ ジャンク屋にショーウィンドウ? と思うかもしれないが、丹青通商には「ジャンクでなくて少し高価なモノ」を飾っておくケースみたいのがあった。今でも、たぶんあると思う。 *2 打倒PC-9801シリーズ 日本のコンピュータを面白くなくした主犯格だと思っていたんだね。まあ、仕事が面白くなかったんで、逆恨みみたいなところも多分にある。 *3 Mylex(http://www.mylex.com) 高級マザーボードで知られたメーカーだったけれど、現在はマザーボードからは撤退。RAIDなどストレージシステムのメーカーとして生き残っている。 *4 偽EISAバス この件は結局、自力ではいかんともしがたかったので、いまだにシツコく覚えているトラブルのひとつなんだな。 |